俺は路上で生きていく

路上での一人芝居のみで生計を立てる路上役者のブログ

僕は、誰かにとっての悪魔で、誰かにとっての天使〜2022.12.18@川口〜

 

12月18日、川口。

めちゃくちゃ寒かった!今日は、今季一番の寒気がきてるらしい。

 

家出た瞬間は、「なんだ大したことねぇな。3時間くらいなら路上できそうだ」って、高を括ってたけど、始めてみたら段々笑えない寒さになってきた。

 

かなり寒い日でも、芝居やったら体が温まるので、30分に1組くらい観てもらえれば、なんとかなるんですよね。

 

でも、観てもらえないとなかなかしんどい。

 

早上がりの目安は、足先の感覚がなくなったらと決めてるので、とりあえず限界までやろう。

 

15分経過。0組。

 

。。。

 

30分経過。0組。

 

おっと雲行きが怪しいぞ。

なんて思ってたら、1組のご夫婦が止まってくれた。

 

ありがてぇ!!!

 

「さっきからずっと気になってたんだよ。だから戻ってきちゃったよ」

 

と言って、500円をくれた。

先払いパターンだ。

 

いつものように僕は、「投げ銭なので、ダメだったら没収してくださいね」と言いつつ芝居を始めた。

 

ところが。

 

旦那さんの方は、僕が芝居をしている最中、基本こっちを観てなかった。

 

路上では、お客さんとの距離がめちゃくちゃ近いので、お客さんがどんな感じで観てるのか様子が分かる。

僕からは、旦那さんの目ではなく、帽子のツバしか見えなかった。

 

ずっと俯いていて、耳だけをこちらに傾けてる感じ。

まさかの、お客さんが自主的にラジオドラマにする観劇スタイル。

 

3分のひとり芝居という名のラジオドラマがおわった。

 

「面白くないな」

 

「でしょうね!」と言いそうになったが、奥さんは楽しんでくれていたので、まだよかった。

 

「これじゃ500円は払えねえな」と、先払いの500円は100円になった。

 

でも、長らく路上やってきて、立ち止まってくれたけど、芝居中ほとんどこっちを観ない人ってけっこういるんですよね。

 

周りが気になるのか、恥ずかしいのか、俺の芝居に熱が感じられないのか…

 

とりあえず、こんな寒空の下、ラジオドラマだったらたぶん家で聞いたほうがいいし、俺も室内で収録したいよ!

 

そんなことを思いながら、次への呼び込みを再開した。

 

 

15分経過。0組。

 

。。。

 

30分経過。0組。

 

おっと雲行きが怪しいぞ。

なんて思ってたら、1人のお兄さんが止まってくれた。

 

ありがてぇ!!!

 

「一回通り過ぎたけど、気になったので戻ってきました」

 

30分観てもらえなかった後に、戻ってきてくれた方。

ん…?既視感があるぞ…

 

「千円でいいですか?」

 

先払いパターンだ。

これも既視感がある…

 

これはもう、そういうことだな。と思って、さっきと同じ演目を自分でチョイスした。

リベンジや。

幸い、お兄さんは帽子を被っていない!

 

芝居中、こっちを観てくれている…

 

感想は…

 

「お兄さん!よかったよ!」

 

「でも、お兄さんはもう少し歳取ってから売れるね。俺はそういうのよく当たるんだよ。俺、嘘は言わないから。お兄さんの顔は、もう少しシワが出てきたから、味が出る顔だし、芝居も上手いし、絶対にもう少し経ったら絶対売れるよ」

 

先ほどの悔しさがあった分、素直に嬉しかった。

ありがとうございます。僕、あなたの言葉を嘘にしないように頑張ります。

本当にありがとうございます。

 

 

路上には、本当に色んな人がいる。

 

「なんでそんなこと言うの?」という悪魔のような人もいれば、「なんでそんなことしてくれるの?」という天使のような人もいる。

 

まぁもちろん、その悪魔も天使も、僕にとってはというだけで、僕にとって悪魔のような人は誰かにとっての天使だろうし、逆も同じ。

 

そんな僕も、誰かにとっての悪魔で、誰かにとっては天使だと思う。

誰もが、誰かにとっての悪魔で、誰かにとっての天使。

 

1組目の旦那さんにとって、僕は悪魔だったかもしれないし、2組目のお兄さんは僕を天使と思ってくれたかもしれない。

 

そんなことを考えていたら。

 

「寒いけど、頑張ってね」

 

芝居を見ずに、さっと千円札を置いていってくださった方がいた。

 

今は時間がなくて、芝居は見れないらしい。

ぜひ次回、芝居を観てみて良かったらください、と伝えたが、それでも渡してくれた。

 

ここにもまた天使のような人がいた。

 

 

エンターテイメントというのは、本当に不思議な力がある。

「この人は自分にとっての悪魔かもしれない」と第一印象で抱いたとしても、芝居で通じ合えると、天使のような関係になることもある。

 

こないだ久喜駅でそんな出会いがあった。

 

芝居の力を借りて、エンタメの力を借りて、自分にとっての天使を増やす努力をしていきたいと思います!

僕は、誰かにとっての悪魔で、誰かにとっての天使〜2022.12.18@川口〜

 

 

 

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