俺は路上で生きていく

路上での一人芝居のみで生計を立てる路上役者のブログ

なんの言い訳もできない、完全な実力不足とわかる反応〜2022.12.17@十条〜

 

「これ絶対面白いでしょう!」

 

十条で出会ったご夫婦が、芝居を始める前にタイトルを見てこう言ってくれた。

これはもう、完全な勝ちパターン。

 

だと思った。

 

芝居が終わった後の反応は、決して良いとは言えない、苦笑いに近いようなリアクションだった。

 

一番悔しい反応だ。

なんの言い訳もできない、完全な実力不足とわかる反応。

 

親にとって、自分の娘や息子のピアノの発表会は、世界トップクラスのショーにも勝るエンタメになるように、「面白い」というのは、「心の距離感×クオリティ」という掛け算だと思う。

 

いくらクオリティが高く、面白い芝居だったとしても、心の距離感がもはやマイナスの憎たらしい奴が作った芝居ならば、「面白い」なんて思えない。

 

だから僕は、路上ではまず雑談したり丁寧に自己紹介したりして、少しでも心の距離感を縮めてから芝居を観てもらうようにしてる。

 

僕の第一印象はほとんど、「路上で変なことやってる怪しい人」なので、警戒心を和らげてもらえないと、芝居が「面白い」という評価を得られる可能性が低くなってしまう。

 

でも、十条で会った「これ絶対面白いでしょう!」と最初に言ってくれたご夫婦は違った。

 

二人で自ら僕に近づいてきてくれたし、自己紹介も興味深そうに聞いてくれたし、芝居もしっかり観てくれた。

 

その結果が、ほぼ苦笑い。

 

悔しい。

悔しさしかない。

 

心の距離は、むしろ向こうから縮めてきてくれたのに、満足感を与えられなかった。

完全なクオリティ不足であり、実力不足。

 

路上には、本当に色んな人がいる。

立ち止まってくれたのに、何を話しかけても無言を貫く人がいたり、ソーシャルディスタンスの3倍くらいの距離をとって観ようとする、心の距離どころか物理的な距離が遠すぎる人がいたりなど、本当にさまざま。

 

心の距離感がゼロ、むしろマイナスの人もたくさんいる。

 

こういう人に対しては、芝居の反応が悪かったとしても、芝居自体というより、心の距離感を詰め切れなかった部分の反省が大きくなる。

 

「面白さ=心の距離感×クオリティ」と考えると、心の距離感が遠すぎてしまうと、その時点で楽しませるのはかなりムズい。

 

でも今回は、十二分なほどに心の距離感が詰まった状態。

 

まさに、なんの言い訳もできない完全敗北。

 

あぁ。

本当に悔しい。

 

このご夫婦が去った後、僕は一人で「あぁ、悔しい」と何回も言っていた。

 

すると、そのご夫婦が戻ってくれた。

 

「寒いから、これ飲んで温まって。頑張ってね」

ご夫婦からいただいたホットコーヒー

ご夫婦からいただいたホットコーヒー

 

優しさが、心の傷に沁みる…

 

また一つ努力する理由ができた。

成長して、いつかまたあなた方に観てもらえた時に、今度こそ楽しんでもらえるように日々を過ごしていきます。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

12月17日、十条。

雨。寒い。

めちゃくちゃ寒い!

 

前に十条に来たときは、2時間やって0組だったけど、今回は3時間で7組観てもらえた。

 

たった一人で観てくれた演劇部の女子高生や「トイレ行きたいから!」とめちゃくちゃ急かしながらも観てくれたお兄さん(笑)、もう完全に友達になった十条商店街でお店やってるショウコさん。

 

そして、「学生でお金ないので、100点の面白さでも120円しか出せまんせんが観たいです!」と言いながら、「えー!!めちゃくちゃ面白かったです!!」と、最終的に220円出してくれた学生さん。

 

皆さん、ありがとうございました!

観てくれる方がいるおかげで、また頑張ろう、今日も頑張ろうと思えます。

 

また観にいきたいと思ってもらえるように、もっと極めます!

 

なんの言い訳もできない、完全な実力不足とわかる反応、の写真

 

 

路上役者亮佑のTwitter路上役者亮佑 | Twitter

 

路上役者亮佑のFacebook路上役者亮佑 | Facebook

 

路上役者亮佑のInstagram路上役者亮佑 | Instagram