どうも!路上役者亮佑です!
「事務所に入ってるんですか?」という質問は、本当に興味があるのかどうかは別にして、路上で1日1回は必ず聞かれます。
本当に興味がある人が少ないのか、「フリーです」と答えると、「なぜですか?」と深掘りしてくる人は、3日に1回ぐらいしか会わないのですが、今日はその3日に1回会う人のために、僕が事務所に入らない理由を書いてみました。
〜目次〜
【はじめに;「手段」としての事務所所属】
事務所に所属している人は、いろいろな理由があるでしょう。
ドラマや映画に出たい、自分の活躍をたくさんの人に見てほしい、知名度を上げたい、などなど。
基本的に、事務所に入っていないと映像の仕事はできないので、たとえばその人たちは、ドラマに出たいという「目標」があり、それを達成するための「手段」として、事務所に所属しています。
僕の現在の目標は、小劇場の舞台でメシを食うことです。
結論から言うと、その目標を達成するための手段として、自分にとって事務所に入ることが効果的な手段ではないので、事務所に入っていません。
なぜ効果的ではないと僕が思っているかというと、
①キャスティング面で不利にならないから
②ギャラを中抜きされないから
③一緒にやっていきたいと思える事務所に出会えてないから
です。
【①キャスティング面で不利にならない】
小劇場の世界において、出演オファーは直接来ます。
僕はフリーなので、制作側から普通にラインとかで来ます。
その点は、おそらく事務所に所属している人も変わらないと思います。
「今度の舞台で〇〇を使いたんですが、どうですか?」とオファーをする相手が、個人から事務所に変わるだけで、名指しでオファーがくることに変わりはありません。
小劇場の舞台において、事務所に入っていようがなかろうが、キャスティング面で不利になることはありません。
映像の仕事だと、制作側からまず事務所に話がいきます。
僕のようなフリーの小者に直々のオファーが来ることなんてまずないので、その点では不利になりますが、僕のいまの眼中には小劇場以外はないので、関係ないです。
【②ギャラを中抜きされない】
小劇場のギャラなんて、本当に雀の涙くらいです。
必死に50人集客したとしても、ギャラはだいたい3〜4万円ほど。
【参考】
【実録!】舞台役者のギャラってどれくらい? - 路上役者亮佑
しかし、事務所に入っているというだけで、そのわずかなギャラから事務所に中抜きされる場合もあります。
以前、僕の共演者で80枚チケットを売って、本来なら7万円のギャラをもらえるはずが、
「うちの事務所は取り分が5:5なので、今回のギャラは3万5千ですね」
と言っている人がいて、僕はかなり憤りを感じました。
事務所が取ってきた仕事をやらせてもらって、そのギャラから手数料が引かれるのは当然のことです。
事務所も仕事をしたわけですからね。
しかし小劇場は、キャスティングの際、自分を名指しでオファーしてくれる。
いわば、「自分で獲得した仕事」です。
そして、ギャラは自らの集客の結果として、支払われます。
自分の力で結果を出して、自分の力でギャラを生み出すわけです。
つまり舞台という仕事は、「自分で獲得した仕事」で、「自分でギャラを生み出す」ものです。
事務所は仕事を取ってきたわけでも、何かを生み出したわけでもありません。
それなのに、そこから事務所にギャラを抜かれるのは、僕だったら納得できません。
小劇場においては、事務所の手を借りずに仕事を獲ることも、ギャラを生み出すことも可能です。
この点も、事務所に入らなくてもいいかなと思っている理由です。
【③一緒にやっていきたいと思える事務所に出会えてないから】
路上をやっていると、芸能事務所の人に声をかけられることもあります。
でも、「この人と一緒に仕事をしていきたい!」と思える人や事務所に出会えたことはありません。
当然のことですが、僕は「本気で自分を売り出したい」と思っています。
だからもし事務所に入るなら、「本気でお前を売り出したい」と思ってくれる事務所じゃないと嫌です。
一緒に仕事をしていくなら、そういう根本の方向性が同じじゃないと、たぶんお互い損をします。
いずれ「方向性の違い」という常套文句で別れることになるでしょう。
そして現実的なことを言えば、こんなペーペーの僕に対し「本気でお前を売り出したい」と思ってくれる事務所なんてありません。
大した実績も実力もない30歳が、大手企業からヘッドハンティングされることがないように、僕に対して大手事務所は見向きもしないし、
小さな事務所は、僕が所属していた事務所のように、「レッスン費で金落としていってくれればいいや」くらいにしか思っていないでしょう。
少なくとも僕と同じくらいの熱量で、僕に向き合ってくれる人間、事務所が現れない限り、僕はこれからもフリーでやっていくつもりです。
【おわりに】
僕は、最初はとくに何も考えることなく、「とりあえず事務所に入っておこう」ぐらいの気持ちで、事務所に所属していました。
6年ほどいくつかの事務所を転々としましたが、最も強く感じたことは「結局、自分次第なんだな」ということです。
事務所でも劇団でも、誰かにプッシュしてもらって自分を上げてもらおうなんて考えでは、おそらく一生売れません。
そして同時に、「とりあえず事務所ぐらい入っておくか」ぐらいの考えでは、現実は変わらない。
どの事務所に入るかとか、どの劇団に入るかとか、そんなことを考えていた僕の役者人生は、全く前進しませんでした。
どこに所属していようが、そんなこと関係なく、「どうやったら自分の力で上がっていけるか」を考えなければいけない。
駆け出しの頃は「とりあえず事務所にでも入っていないと、友達に"役者"と名乗るのが気まずい」と思っていました。
そんな自分の自信のなさを、事務所で補填していた。
でもちゃんと考えてみると、「なりたい自分」に対して「事務所に入る」という選択を取る必要がないことに気づきました。
僕のいまの「なりたい自分」は、舞台だけでメシを食っていける役者です。
その目標を達成するために、最も必要なことはファンを作ることです。
その目標と照らし合わせた時に、事務所や劇団に入ることは、必ずしも必要なことでもなければ、重要なことでもない。
事務所に入らなくても、なりたい自分になれる。
僕はいま、そう思っているので事務所に入っていません。
「とりあえず事務所入っておこう」と軽い気持ちでやっていた自分を蹴り飛ばしたい気持ちですが、事務所には"登録料"やら"レッスン費"やらで、合計50万ぐらい払っているので、これ以上の戒めは止めてあげようと思います。
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