俺は路上で生きていく

路上での一人芝居のみで生計を立てる路上役者のブログ

役者の仕事は芝居だけじゃねえぞ。

 

どうも、こんにちは!路上役者亮佑です!

 

小劇場で舞台をやるようになってから、

とても強く感じたことがあります。

 

それは、

「小劇場の役者は芝居のことしか考えていない」

ということです。

 


もちろん全員とは言いませんが、

芝居さえ上手ければいいと思っている人がたくさんいる。

 


酒を飲みながら、芝居のことについては暑苦しいほど情熱的に語るのに、


それ以外の話は一切出てこない。

 

それじゃダメだと思うんですよね。

役者の仕事は決して芝居だけじゃないと思うんです。

 

では、芝居以外の仕事とはいったい何なのか?

 

 

それは集客です。

 

僕は、役者が集客のことをあまり考えていないことは、

とても大きな問題だと思うのです。

 

 

【芸術の価値の生まれ方】

 

お芝居は芸術です。

 

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そして、

【芸術とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動】

 

と、Wikipediaに書いてあります。

 

つまり絵画も音楽も、そして演劇も、

表現者がなんかして、鑑賞者がなんかされることで、

「おぉ!」というなんかが生まれる、ということですね。

 

重要なのは「鑑賞者」、つまり”お客さん”の存在です。

 

芸術が価値を生むのは、

二つの条件が同時に満たされた場合のみで、その条件とは

 

①お客さんがいること

 

②お客さんの心が動くこと

 

です。

 

全ての芸術と同じように、芝居だって

「価値を生む」という目的を達成するには、

この二つの条件を満たすことが必須なのです。

 

 

【居酒屋で芝居についてしか語らない小劇場役者の問題点】

 

居酒屋で芝居についてしか語らない役者の何が問題なのか。

 

それは、芸術が価値を生む条件は二つあるにもかかわらず、

そのうちの一つ、「心を動かす」だけしか見ていないことです。

 

 

芝居について熱く語るのは、「いい芝居をする」ためです。

そして、「いい芝居をする」のは、「心を動かす」ためです。

 

もちろん、それは重要なことです。

 

しかし、価値を生む条件が二つあり、

その条件をどちらも満たさなければならないのなら、

どちらかを軽視することはできません。

 

もう一方の条件である「お客さんがいること」

 

これを軽視しているのが、小劇場の役者の大きな問題点です。

 

 

【小劇場役者と地下アイドルの違い】

 


2年ほど前に、同じ座組で共演した地下アイドルの子と、

ベテランの小劇場の役者の方を見て感じた

大きな違いがあります。

それは、

アイドルは「誰かに見に来てもらう"ため"の努力」をしていて、


舞台役者は「誰かに見に来てもらう"前提"の努力」をしている、

ということです。

 

 

アイドルの子は、舞台稽古を休むことも多くありました。

しかし稽古以外に、自分が所属するグループのライブやイベントにも顔を出していました。


そんな多忙な中でも、

SNSで舞台の宣伝や活動報告、ライブ配信などもしていました。

 


これは明らかに、「見に来てもらうための努力」です。

 


その子は、舞台本番後にも


「え、お前そんな顔、稽古で一回も見たことねえぞ」
という、

とびきりの営業スマイルを振りまきながら、

自分が呼んだお客さんの対応をしていました。

 

 


比して、ベテランの役者の方は、


稽古を休むことはほとんどありませんでしたが、

SNSやネットを駆使して宣伝活動に励むことも、ほとんどありませんでした。

 

ただ、芝居はバツグンに上手かったので、


本番後はその方への賞賛の声が多く聞こえました。

 

しかしアイドルの子のように、自分が呼んだお客さんと話し込む姿は


あまり見受けられませんでした。

 

この姿は僕には、「見に来てもらう前提の努力」にしか見えませんでした。

 

 


先ほども言いましたが、小劇場の役者は、


芝居さえ上手ければいいと考えている人が多くいます。

 

彼らからは、「いい芝居をしよう」「もっと芝居が上手くなりたい」
という気持ちは、ひしひしと伝わってきます。

 


ですがそれは、裏を返せば

「誰かが見に来てくれる」
という前提に立った努力でしかありません。

 

だって仮に、お客さんが0人だったら、

世界最高級の芝居を上演したとしても、無意味だからです。

 

お客さんが誰もいなければ、稽古と同じになってしまいます。

 

「お客さんがいること」が価値を生む条件の一つになっている以上、

お客さんがいない稽古で、価値が生まれることはありません。

 


役者である以上、いい芝居をすることは当然として、


そのいい芝居を、お客さんに届ける努力も絶対に必要です。

 

 

舞台に立つ以上、そして芝居をやる以上、

「見に来てもらうための努力」も重要なんだ。

 

僕はそれを、このアイドルの子に教えてもらいました。

 

 

【まとめ】


芸術は、「見てもらう+心が動く」で、初めて価値が生まれます。


それなのに、その二つのうちの一つ、

心を動かすための努力、つまり芝居だけしていたんじゃダメなんです。

 

価値が生まれる前提には、「見てもらう」があるのだから、

届ける努力も絶対にしていかなければいけません。

 

 

小劇場は狭い世界です。

現状、マイナーな世界だと言わざるをえません。

  

あなたはなぜ、小劇場で芝居をやっているのですか?

小劇場が、そして芝居が好きだからではないんですか?

 

だったら、自分が立つその小劇場という世界を、

芝居が持つ素晴らしさを、もっと多くの人に知って欲しいとは思いませんか?

 

今はマイナーなこの世界を、

いつかはもっとメジャーな世界にしたいとは思いませんか?

 

どんなにいい芝居だって、見てもらえなければ価値はないんです。


どんなに芸術的に優れていたって、
5人よりも50人を楽しませた方が、

はるかに価値があるんです。

 

エンタメは、「来てくれたお客さんを楽しませる」ためのものなのだから。

 

「お客さんを楽しませる」努力だけじゃなく、

「お客さんに来てもらう」努力もまた、役者の大切な仕事なのです。

 

どちらが重要とかではなく、どちらも重要。

 

両方に力を注ぎ、1人でも多くのお客さんに

芝居で幸せになって欲しいですよね。

 

 

 

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